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研究内容(カーボンナノチューブ〜CNT分散剤〜)

1.CNT分散剤

カーボンナノチューブは高い電気伝導性、熱伝導性、優れた機械的強度を持つ炭素材料でありポリマー複合体を始めとして様々な応用が検討されている。しかしながら現実には自身の高いファンデルワールス相互作用によるバンドル化のために可溶化、分散化が極めて困難であり、そのことが基礎研究、材料開発の妨げとなっていた。当研究室においては様々なCNT分散剤を報告してきた。CNTの分散と言えば中嶋研!
 1.1 ピレン誘導体
 ピレンアンモニウム誘導体がCNTの表面に強く吸着し、CNTの水中分散化を可能にすることを見出した。その後もこのピレン誘導体分子は多くの研究グループによって効率的な分散剤として利用されている。(H18.D友成)
Chem. Lett., 6, 638-639 (2002).

 1.2 ピレンポリマー
 ピレンを繰り返し単位に持つポリマーは、対応するモノマーに対してより高い分散安定性を与えることが明らかとなった。ピレンモノマーで水中分散したSWNTは50度までの加熱で凝集を生じるのに対し、ピレンポリマーは90度まで加熱しても分散状態が保たれたままであった。高分子化による多点相互作用の寄与であると考えられる。(H18.D友成)
Trans. Mater. Research Soc. Jpn., 29, 525-528 (2004).

 1.3 ポルフィリン誘導体
 当研究室ではポルフィリン誘導体がCNT孤立分散化に有用であることも報告した。両者の相互作用の結果、ポルフィリンに由来する蛍光は消光された。このモデルは新しい電子移動のモチーフとして多くの研究が展開されている。
Chem. Phys. Lett. 378, 481-485 (2003).

 1.4. DNA
 我々はSWNTが天然由来の2本鎖DNAによって水中に分散させることができることを発見した。
天然の生体物質と新しいナノ炭素材料のとの不思議な出会いであった。
Chem. Lett., 32, 456 (2003)..
 1.4 DNA: CNTと分子との相互作用の定量的評価法の発見
これまで困難であったCNTと分子との相互作用の強さの定量的な評価を吸収測定解析により初めて可能にした。直径により平衡定数が最大100倍も異なることが明らかになった。(H24.D加藤,H24.井上)
Sci. Rep. 2, Art. No. 733. (2012)
ChemPhysChem, 14, 1652-1655 (2013).

 1.5 ポリイミド
 多核芳香族ポリマーであるポリイミドにおいてもSWNTの高い分散安定性が認められた。その可溶化能は非常に高く、ポリイミド1mg/mLのDMSO溶液中1mLにおいて実に2mgものSWNTを可溶化させることがわかった。その溶液はチキソトロピー性のある物理ゲルを与えた。
(H18.重田)
Chem. Phys. Lett., 418, 115-118 (2006).

 1.6 お茶
 当研究室では身の回りにある飲料でもSWNTを可溶化できることを発見した。SWNTを市販のお茶に入れ超音波照射したところ、見事に孤立分散溶液が得られた。お茶に含まれるカテキンが可溶化に寄与していると考察している。ご家庭でもできる最も簡単なSWNT可溶化法であろう。(H19.中村G)
Chem. Lett. 36, 1140-1141 (2007).

 1.7 ポリベンズイミダゾール(PBI)
 スーパーエンジニアリングプラスチックとして消防服や限外ろ過膜などに既に工業的に利用されているポリベンズイミダゾール(PBI)においてもSWNTの高い可溶化能が見出された。PBIのDMAc溶液においてSWNTは孤立分散していることが明らかとなった。さらにその溶液から得られた複合体フィルムにおいてはわずか0.06 wt%のSWNT添加で大きな機械的強度における補強効果が得られた。(H20.岡本)
Adv. Funct. Mater., 18. 1776 (2008).
 1.8. ミセル重合を利用した相互作用を必要としない分散剤被覆法
  界面活性剤で分散されたSWNTにおいて、界面活性剤とSWNTとの界面では「疎水場」が生じている。ここを重合反応場として利用することで、架橋高分子をSWNT表面に形成させる新しい高分子被覆法の開拓に成功した。この架橋高分子被覆SWNTはこれまでのいかなる分散剤よりも安定に物理吸着し、生体内環境においても安定な分散が期待できる。(H27.堤)
RSC Advanced, 4, 6318-6323 (2014).

Colloid & Interface communication, 39, 24-26 (2014)(日本語)
Chem. Lett. in press

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