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研究内容(カーボンナノチューブ〜カイラリティー分離・単離〜

2.単層CNTのカイラリティー選択的認識と分離

様々な巻き方の混合物であるSWNTにとって、その分離は基礎的研究、応用的開発の両方向において重要な研究課題である。

 2.1  ピレン誘導体によるカイラリティー認識の可能性
 当研究室で開発された可溶化剤であるピレンアンモニウム分子は直径の太いSWNTを認識している可能性を示唆する結果が得られた。直径の違いから来る曲率半径の違いと平面性の多核芳香族分子との親和性の違いについては存在が指摘されていることから、この結果は興味深い。(H17.D友成)
Chem. Eur. J., 12, 4027-4034 (2006).

 2.2 ジアゾニウム塩を用いた半導体CNT・金属性CNT分離
 
 SWNTは導電性を持つものと半導体性のものの混合物でもある。両者は分光学的な性質などの物性の違いは勿論のこと、応用分野も異なるために簡便かつ大量に分離する方法が求められている。当グループではこれらのSWNTとジアゾニウム塩との反応性の違いに注目してSWNTのバルク分離に成功した。(H18豊田)
Chem. Asian J., 2, 145-149. (2006). .

 2.3  酸化還元準位の差を利用したカイラリティー分離法
 半導体性SWNTは様々な酸化還元準位を持つために適当な金属塩を選択すると、金属粒子に還元できるものとできないものの差が生じる。金イオンは(6,5)より還元準位の高いSWNTにおいて金粒子としてSWNTに析出する。ここで生じた重さの違いを密度勾配遠心法により増幅し、(6,5)SWNTのみ単離することに成功した。(H24.D加藤)
Angew. Chem. Int. Ed. 48, 5435-5438 (2009).

 2.4(1) CNTカラムクロマトグラフィーによる分子-CNT間相互作用評価
   CNTでコーティングしたシリカ粒子を固定相とするカラムを作製し、液体クロマトグラフィー分析により種々の分子とCNTとの相互作用の解析に成功した。これによりCNT分散剤として備えるべき分子構造の探索などが可能になった。(H25.Dジョンテ)
Nanoscale 2011
 2.4(2) CNTカラムクロマトグラフィーによる「溝」認識現象の発見
単層CNTは束(バンドル)を形成します。このバンドルが作る「溝」には様々な小分子が気相吸着することが知られていました。1次元形状の分子では、このような特異吸着が溶液中でも起こることを発見しました。(H25. Dジョンテ)
Nanoscale 5, 7419-7424 (2013).

 2.5(1) 分光電気化学を用いたカイラリティーごとのSWNT電子準位決定
   SWNTのカイラリティーごとの蛍光は電気化学的な酸化と還元により消光する。電位に対してそれぞれのカイラリティーにおける消光挙動を解析することによりSWNTの電子準位を正確に決定することに世界で初めて成功した。この電子準位は周囲の誘電率によっても変化することも突き止めた。(H21.PD田中・H24.D平兮)
Chem. Lett., 38, 864-865 (2009)
Angew. Chem. Int. Ed. 48. 7655-7659 (2009). (Nature Asia Materialsにハイライト)
J. Am. Chem. Soc.132, 13072-13077 (2010).
 2.5(2) カイラリティーごとの電子準位の経験式による予測
中嶋研オリジナル技術であるSWNTの分光電気化学により精密に求めたSWNTの電子準位から経験式を作成し、あらゆる直径のSWNTの電子準位の予想を可能にした。(H24.D平兮)
Sci. Rep. 3, Art. No. 2959 (2013).
 2.5(3) 分光電気化学による正・負のトリイオンの発見
1次元化合物であるSWNT内では励起子が強く束縛され安定なエキシトンを形成しています。そこに電気化学的に電子やホールを注入することでエキシトンとカップリングしたトリイオンが生成することが予想されていました。中嶋研の伝家の宝刀「分光電気化学」でこの新たな準粒子を室温で捉えることに成功しました。(H24. PD朴)
J. Am. Chem. Soc., 134, 14461-14466 (2012).
 2.6(1) 半導体性SWNTを抽出するPFO誘導体の発見
中嶋研は半導体性SWNTを選択抽出するPFO誘導体を最も多く発見したグループです。
選択抽出のメカニズムは未解明ですが、PFOってすごいですね。(H22PD小澤, H24赤崎,D福丸,PD利光)
Jpn. J. Appl. Phys 2011.
Jpn. J. Appl. Phys. 2011.
J. Am. Chem. Soc. 2011.
Chem. Lett. 2011.
J. Am. Chem. Soc. 2011.
Chem. Asian J. 2011.
J. Am. Chem. Soc.,2012.
Nature Commun., 2014..
Nanoscale, 2014.
 2.6(2) 半導体性SWNTエナンチオマーの分離
SWNT分離の究極目標とされるエナンチオマー分離を不斉を持つ高分子で実現した。同じカイラリティーを持つSWNTの「カイラリティー分離」って何かややこしいですね。CNTの「カイラリティー」は「ヘリシティー」に呼び直しませんか? (H24赤崎)
J. Am. Chem. Soc.,134, 12700 (2012).
 2.6(3) 除去可能な金属錯体超分子形PFO半導体抽出剤
近年、様々な半導体性SWNT抽出技術が発達し、SWNT半導体デバイスの実現が現実味を帯びてきました。しかし、実際には除去困難な分散剤の存在が特性を劣化させるため、性能が引き出せていない状況です。そこで、新たに超分子金属錯体高分子形のPFOをデザインし、酸添加による脱メタルで容易に除去できる工夫をしました。中嶋研初のNature! (PD利光)
Nature Communications, 5, Art. No. 5041 (2014)..
 2.9 CNTカラムクロマトグラフィーによる「溝」認識現象の発見
SWNTを固定相としたアフィニティークロマトグラフィー法により、直線的な形状を持つ分子はSWNTバンドルの「溝」にはまりやすいことが分かりました。気相では特異的ガス吸着の報告がありましたが、液相中において始めて見いだされた現象です。分子認識の観点から大変興味深い現象です。Nanoscale 5, 7419-7424 (2013).

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